福田美術館 竹本理子さん

取材・執筆:吉岡柚稀奈、手嶋航太郎

2019年に右京区・嵐山に開館した美術館。アイフル創業者で京都市出身の福田吉孝が美術館を設立する目的で約20年にわたって収集した作品約1,800点を所蔵。「たとえ美術に詳しくない方が見ても感動を覚えるような」作品がコンセプトで、江戸時代の琳派や円山・四条派の作品のほか、近代の京都画壇の作品も多く所蔵しています。館内には「パンとエスプレッソと福田美術館」というカフェも併設されており、多くの方に楽しんでいただける美術館です。

副館長 竹本理子さん

―竹本さんはいつからここで働いていらっしゃいますか?

竹本:この福田美術館を建てるという基本設計が出来てからこの仕事に携わっており、6年ほど働いています。美術館の建設前は、まず設計のレビューに携わりました。そして、運営に関わる事全てを選んで決めて、建物の中に入れる「魂」を入れる作業をしました。2019年に開館してからは、どういう展覧会を開催すればお客さんに喜んでいただけるかを念頭に、日々頑張っています。  オーナーは「自分の育った京都に恩返しをする」ことを目標に掲げて美術館建設を計画し、美術品を収集し始めました。いよいよ美術館を立ち上げるという事になった時に、美術と経営が両方分かる人に来て欲しいと考えたそうで、たまたま私がその条件に当てはまったんです。

―福田美術館は、どのような人を対象にしていますか?

竹本:あらゆる世代、国籍、老若男女問わず来て欲しいですね。世界中から人が集まる嵐山で、美術にあまり詳しくない人にも楽しんでいただけるように様々な工夫をしています。京都に関係の深い画家の作品を展示したり、外国の方が日本に興味を持っていただけるような展覧会も開催しています。

右京区の中での福田美術館の役割は何ですか?

竹本:京都で美術館というと岡崎、東山というイメージがある中で、よくぞ嵐山に建ててくれた、ということを地元の方から言われます。千年以上前から、芸術家のインスピレーションを刺激する存在であった嵐山に、自然と芸術を両方楽しんでもらえる場所を作ったことに意味があるかと思います。アートの発信地として新しいイメージを持たせることが出来たと考えています。

— 福田美術館のコンセプトである「100年続く美術館にしたい」に込められた思いはなんですか?

竹本:美術館という事業は一瞬で終わるのではなく、長く続かなくてはならないものだと思っています。「千年の別荘地」と言われている嵐山なので、それに負けないように長く続く美術館を目指しています。当館では約1800点の作品を所蔵しているのですが、その内99%が日本画です。京都にゆかりのある作品、京都で活躍した画家の作品をはじめ、日本の美術を様々な方に楽しんでいただきたいと思っています。

— 福田美術館は嵐山にありますが、他に右京区で好きなところはありますか?

竹本:右京区は嵐山も含めてとても素晴らしい場所が沢山ありますが、私が特に好きなのは奥嵯峨です。平安時代に嵯峨天皇が愛した場所ですが、その理由がすぐに納得できるほど素晴らしい風景が広がっています。古のたたずまいが残る風情あるところで、右京区外の方々にも良さを知っていただきたいです。

— 今後、右京区がどんな街になっていってほしいと思いますか?

竹本:人気の観光地なので人が集まるということは嬉しいですが、修学旅行などで一時的に来るだけの場所ではないということをアピールしたいですね。いつ来ても良いところだということを伝えたいです。特に嵐山は、春夏秋冬を問わず、いつでも美しい自然を楽しむことが出来る、特別な場所。京都人は無意識のうちに、嵐山=観光客向けの場所だと思いがちですが、地元の方々にとっても誇るべき歴史や文化が残る所です。嵐山だけでなく、右京区全体には歴史・文化遺産が沢山ありますので、その価値を一人でも多くの方々に理解して頂き、みんなで大切にして行けたらと思います。

— ウェブサイトの読者へのメッセージはありますか?

竹本;嵐山に限らず、京都には良い場所が数え切れないほどあります。ネットやガイドブックには出ていない、自分のお気に入りの場所を見つけて欲しいです。右京区の魅力が国内さらには海外へと発信され、右京区の知名度が上がり、地域が活性化されることを願います。

執筆者コメント

今回、インタビューさせていただいた中で、福田美術館の皆さんの右京区・嵐山への愛情を感じました。まだまだ知られていない嵐山の良さがある事に気づけて良かったと思います。また自分から嵐山の隠れた良さを発信していきたいと思います。

(手嶋航太郎)

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