人力車のえびす屋                                勝西勇仁さん・吉田雄樹さん・中山大督さん 

京都 春爛漫[4820]

取材・執筆:福家玲心、村上千尋

1992年から光人力車のえびす屋。京都嵐山から始まり、現在では、全の主要な光地で人力車を走らせています。200名を超える車夫とスタッフが光地の最前線で日々働いており、快な走りとガイドでお客をおもてなしします。また、こども110番人力車として地域の防犯活動も行っています。今回は、嵐山總本店でかれている勝西勇仁さん吉田雄樹さん中山大督さんにお話しをお聞きしました。

勝西勇仁さん
吉田雄樹さん
中山大督さん

―えびす屋で働く経緯を教えてください。

勝西:今年で20年目になります。南区の出身ですが、京都について詳しく知らないのは良くないと思ったんです。そのとき、えびす屋を知って興味を持ちました。毎日多くのお客様とお話しをすることも面白いと思いました。

吉田:右京区の出身で、車夫の仕事に興味を持ちました。今年で、16年目になります。

中山:今年で25年目になりますが、もとは滋賀県出身です。嵐山を観光したときに車夫の存在を知ったことがきっかけです。なにより、人力車に乗るより人力車を走らせるほうが面白そうだと思ったんです。

―お仕事の1日のスケジュールを教えてください。

勝西・吉田・中山:毎朝9時に朝礼を行って、嵐山周辺の掃除をしています。9時半頃にそれぞれの持ち場につき、16時頃に戻ります。従業員数が少ないので、1日中、人力車を走らせています。だいたい、1日で7組くらいのお客様をご案内しますよ。

―右京区の中でご自身が貢献していると感じることはありますか?

勝西:毎朝の清掃活動は嵐山の街の綺麗さを維持出来ているように思いますね。

吉田:嵐山が魅力のある場所ということを紹介していることです。

中山:20年以上前の嵐山は、観光客が捨てたゴミで溢れていたんです。僕たちが走るところくらいは綺麗にしたいという思いで始めた清掃活動のおかげか、だんだんと観光客がゴミを捨てなくなりました。長い時間をかけて環境を良くできたことは、すごく貢献出来たのではないかと思います。

―“地域の観光大使”として、どうやって最新の情報をキャッチしていますか?

勝西:基本的に、お客様との会話のなかで新しい情報や知識を得ています。

吉田:地方系のニュースやテレビ、街に掲示されるポスターから情報を仕入れています。

中山:SNSから情報を手に入れることが多いですね。

―お仕事のなかで、やりがいや大変なことを教えてください。

勝西:毎日多くのお客様とお話しすることがとてもやりがいに感じます。ひとりひとり、それぞれの会話がありますから、飽きることがないですし、すごく楽しんでこの仕事を続けられています。大変なことは、外国人のお客様をご案内することですね。えびす屋には、外国語対応が可能な車夫も働いています。

吉田:言葉のうえで、外国人のお客様のトラブルに対応することが難しかったり、体力的にきついこともあったりますが、「ありがとう」とたくさん言っていただけることはすごく嬉しいです。

中山:自然豊かな人気の観光地で働けることを贅沢に感じますし、その中で、自分の価値観が変わったと実感することをやりがいに感じます。

―まだ知られていない右京区の魅力はありますか?

勝西:実は、“嵐山”自体があまり知られていません。嵐山には登ることが出来るので、ここにも多くの人に来ていただきたいです。あとは、遠くから眺める渡月橋の景色を必ず見ていただきたいですね。

吉田:右京区には古い商店街が多くありますから、ここを歩いてみると、素の日本を知れて面白いですよ。

中山:嵐山は、平安時代の貴族たちが非日常を求めて訪れていた場所でした。現在でも、多くの人々がそれを求めて訪れる、1200年間変わり続けない姿、“嵐山”そのものが最大の魅力だと思います。

渡月橋

—右京区に提案したいこと、改善してほしいことはありますか?

勝西:道路の舗装が行き届いていないところが気になります。これは、僕たちのお仕事上、従業員やお客様にも害がありますから、道路がもっと綺麗に舗装されればなと思います。

吉田:梅津エリアに電車を通して欲しいですね。

中山:観光客の方々が観光しづらいでしょうし、人力車に乗られるお客様の乗り心地の悪さにも繋がりますから、道路を舗装して欲しいです。

—最後に、読者の方に一言メッセージをお願いします。

勝西:綺麗なものを残すためにはいろいろな努力をしなければなりませんから、みなさんもそれを守っていただいて、嵐山を魅力あるものにし続けましょう。そして、従業員募集中です!

吉田:同じく、従業員募集中です!

中山:釣りが趣味なので若狭・高山で良い釣り場を教えて下さい!

ー執筆者コメント

嵐山總本店で働く車夫やスタッフのみなさんは、とても優しくて嵐山への愛情に溢れています。今回のインタビューでは、お仕事のことだけではなく、嵐山の歴史、右京区に対する想いなど貴重なお話をたくさんしていただきました。読者のみなさんには、これを読んで、実際に人力車に乗って嵐山の魅力を直に感じてもらいたいです。

(村上千尋)

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