京都パラキャン実行委員会 阪根泰子さん 

取材・執筆:宮川瑚々奈、多田輝真

京都パラキャン実行委員会は、車椅子バスケなどのパラリンピック競技を見て、聞いて、体感するということを通して、誰もが生活しやすい壁のない環境をつくることを目的として、2015年9月に設立された団体です。今回は、団体の代表として活動を行っている阪根泰子さんに、団体の活動・魅力、そして右京区との関わりについてインタビューをさせて頂きました。


—この団体の一員となって活動されることになった経緯について教えてください。

阪根:出身は兵庫県神戸市です。私が20代の頃はまだ障がい者雇用が難しく、神戸の職業訓練校に通っていました。でも、寮に入って仕事がしたいという思いがあったので、そんな環境が整っている場所を探してもらったところ、障がいがある人に就職支援をしてくれる「京都太陽の家」の存在を知り、訓練校卒業と同時に京都に引っ越してきました。

—この団体が設立された理由、目的について教えてください。

阪根:団体を設立した当時は、障がいを持っている人がスポーツをすることが当たり前では無くて、障がいを持った人の話は重く受け止められやすかったです。それで、スポーツをするというフィルターを通して、子供達あるいは社会全体に障がいのことを知ってもらうために設立されました。それと同時に、壁のない誰もが生活をしやすい街をつくりたいという目的もありました。

—実際に右京区で行った活動について具体的に教えてください。

阪根:右京区役所の中の右京地域体育館で地域密着型のイベントをしたかったのですが、車椅子で行うというハードルが高く難しく、なかなか実現が出来ませんでした。右京区役所の方々の協力もあって、第一弾として、やっとハンナリーズアリーナで車椅子バスケットの体験型イベントを行うことが出来ました。次に、京都光華女子大学の教授と知り合う機会があって、同じように体育館で地域の方、子供達に向けてイベントを行いました。
 その他にも学校講演を沢山行っています。子供達に車椅子バスケを体験してもらい「楽しい」という感情だけではなく街の中の「バリアフリー」について考えてもらいます。そもそも「バリアフリー」とは何かを考える機会をつくることで最終的に心の中をバリアフリーにしようという話に繋げて授業を行っています。障がいをもっている人が伝えること=ボランティアと思われていた時代、壁が大きくて何をするにもやりにくい時代から今は、非常にやりやすい環境になってきたと感じています。スポーツを通して人生が変わる、あるいは私達の団体が行うイベントや授業の中で何か感じ取ってもらう事を伝え続けることを大切にしています。

—活動を行っていて感じるやりがいや大変なことはありますか?

阪根:仕事として活動を行っていますが、大変な事よりもやりがいの方が大きいです。子供たちは素直で、最初は自分とは見かけが違うことに警戒心をもちますが、活動を通して徐々に受け入れてくれて最終的には友達になってくれます。私を友達として受け入れてくれることで、車椅子の人がどんな場面で困るのか、そして手助けができるかを考えてくれるようになります。講演が終わる頃には、子供たちがキラキラした目で私のことを見て質問をしてくれたりするので、そういったところにやりがいを感じますね。

—右京区はどんな街だと思いますか?

阪根:子どもが親になった時に、帰ってきたくなる街だと思います。自分の地元ではないけれど、実際周りに子育てをするために右京区に戻ってくる人が多く、住みやすく、安心できる街だと思います。

—右京区をこれからどんな街にしていきたいですか。

阪根:私は嵯峨野に住んでいるのですが、古き良きものは残しつつ改善してほしいと感じる部分もありますね。子育てをしていて感じたことは、歩道が狭かったり、道路に線が引かれているだけであったりと危険な部分がまだあることです。私たち、車椅子の人にとってもそうですし、ベビーカーを押しているお母さんが通ると歩道からはみ出て、危ないなと思います。また、自分が海外遠征に行った際に、街の中にさまざまな支援や政策があり、本当に必要な人が必要な時に使える取り組みの工夫があることに気づきました。例えば、車椅子の人専用の駐車場に罰金制度があるなどがそうです。まだまだ日本では、理解が足りないと感じる場面もあるので、これからそれらが当たり前な環境になったらいいなと思います。


—執筆者コメント

昔に比べると改善されたものの、障がいを持っている方にとって、バリアになる場面が沢山あることを再認識しました。また、困っている人を見かけた時に、ただ視線を送るだけではなく、何ができるか考えて行動にうつすことの大切さを感じました。定期的に地域の方々に向けたイベントや学校講演を行なっているとお伺いしたので、是非参加をして街のバリアフリー、そして心のバリアフリーについて改めて考えたいと強く思いました。

(宮川瑚々奈)

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